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板門店での興奮と緊張をＫ子とのんびり話し合う暇はなくて、
午後３時過ぎにホテル到着。そこからはお互い別々の行動をし始めた。
Ｋ子は予約したエステのオプション・ツアー。
あたしは、これからソウル市内を一人で歩いてみようと思う。

ソウル市内では今年、国宝が火事で消失する事件があった。
その現場までは歩いていける場所。行ってみる。

崇礼門 - Wikipedia

火事の原因は放火。火事のシーンをニュースで見た人は多いと思う。
で、あの後、放火した犯人は捕まり、あたしがソウルにいる間に判決が出てた。

南大門火災：放火犯に懲役12年求刑 | Chosun Online | 朝鮮日報

懲役１２年。犯人が高齢であるためか、情状酌量が認められたのか、
どっちにしたって、国宝に手をつけたんだから、
死刑でもしょうがないと思うんだけどなぁ。

あぁ、だから

検察は「昌慶宮への放火当時、厳しい刑罰を下していたならば、崇礼門への放火を防ぐことができた。また別の文化財が燃えることになれば、それを防げなかった司法機関は長年の悔いを残すことになる」と主張した。

こういう事を言ってるのか。最初から「死刑」にしとけばいいと思う。

―二人で行っているのに単独行動

カップル ^*1 で旅行に来ているのに、
別々に行動する事になった。
あたしは別にずっと一緒にいる必要はないと思う人間なので、
っていうか、風呂とか服の買い物とか別々っていうのと同じで、
特に旅行だから四六時中一緒にいる必要はないと思ってるから、
エステに行きたいなら、どうぞどうぞ行ってらっしゃいとＫ子を送り出した。

エステに行く事はこっちで決定したけど、
旅行の企画が出た段階で、Ｋ子の口からはエステの三文字が出てた。
そんだけ体験してみたい事らしいから、大いに楽しんできてもらいたい。

あたしはっていうと、ホテルに戻ってきてとりあえず休憩。
Ｋ子とバイバイしてから、よっこらせって感じでベッドの上で地図を広げた。

崇礼門は南大門エリアにあるらしい。

南大門／ナムデムンのエリアガイド

とりあえずここに行って、次は東大門の方へ歩く。
結構な距離だけど２時間くらい歩けば帰ってこれると思だろ。
最終的にはタクシーに乗ればいいんだし。

あたし、車にほとんど乗らないので、普段は全く地図を見ない。
あぁ、嘘、嘘。車に乗っても見なかった。
カーナビに頼り切ってる。

だけど、地図くらい見れる。方向音痴ではないし。
ある程度の地図を頭に入れて、
最低限の道具をポーチにイン。

iPodからはHIPHOP。行くぞー！！

―目指せ！南大門！

ホテルを出て、ホテルの前を初めて左に曲がった。
新しい景色っていうのは新鮮。

徒歩で１５分。

よし、この辺りから南大門のはずだ。
隅っこの灰皿前で地図を確認。うんうん、この辺からだ。
崇礼門はどこにあんだろう…。

とりあえずエリア内を真っ直ぐ進んでみる。

…ないなぁ。

地上と地下を下がったり上がったり、かなり汗だく。
人に聞くか…　ハングルかぁ…
一応、簡単な会話のペーパーは持ってる。けどなぁ…。

ということで、ツアコンのリーさんに電話してみる。
リーさんの番号は、最初に配られた免税店のカードに書いてある。
っていうか、電話のかけ方からわかんない。まじかよ。

携帯電話にリーさんの番号を入力。
ん？そのままかける？日本にかける？
そのままに決まってんだろ。
ありゃりゃ、+８１とか付いちゃってるよ。切らなきゃ。
あぁ～めんどくさい。

何度か挑戦してリーさんに通電。
リーさんに崇礼門の場所を聞いてみよう。

あたし
「リーさん？ＨＩＳツアーでお世話になってる●●です」

リーさん
「アー、ハイハイ」

あたし
「崇礼門って南大門のどの辺りですかね」

リーさん
「エ？」

あたし
「南大門。火事で燃えちゃった門に行きたいんです」

リーさん
「カジノ？」

あたし
「そうそう火事の。今、南大門にいるんですよ」

リーさん
「カジノハ　南大門カラハー　ンー　◎◎ホテルノー」

あたし
「リーさん、ホテルのカジノじゃなくて（笑）」

リーさん
「エ？」

あたし
「火事。火事で燃えた門。崇礼門！」

リーさん
「ア～～　イマ、ドコデスカ？」

あたし
「ロッテホテルから歩いて南大門市場の辺りです」

リーさん
「ソウデスネェ　ドコノ南大門カ　ワカラナイノデ
　周リノ人ニ　聞イテミテクダサイ」

まじかよ（笑）

お～ま～え～に～　き～い～ぃ～て～い～る～ん～だ～ぁ～

あたし
「あ、わかりました。どうもー」

周りの人に聞けってよ。割と冷たいんだな。
いや、あたしが甘えているのか？
そうだな、甘えちゃいけないよな。

タバコを吸いながら「スンネムン、オディ？」の脳内トレーニング。
（崇礼門はどこですか？）
ちょっと長い文章はペーパーを見ながら話しかけよう。
（ヨギエソ　オヌチョンド　コルリムニカ＝どれくらいかかりますか）

だけどさ、返しの言葉を聞き取れるか？
地図を見せて、指を指してもらうしかないよなぁ。
数の単語だって、ハングルはよくわかんない。
ヨン、イル、イ、サム、サ、オ、ユッ…

誰にしようかなぁ、やっぱり反日世代が面白いんじゃないかな。
おじいちゃん、おばあちゃんを捕まえて、日韓交流しようじゃないか。

一人のご老人があたしの前を通り過ぎようとしてる。

あたし
「あにはせよー」

ご老人
「？」

あたし
「すんねむん、え　かご　しっぽよ。
　すんねむん、おでぃ？
　よぎえそ　おぬちょんど　こるりむにか」

行きたいです。どこ？どれくらいかかる？

ペーパーをハングルっぽく読んでみた。
普段、北朝鮮のテレビ放送を真似しているのとは
要領が違うのでかんなりダメダメ。

言葉で返されてもわからないので、
地図を見せて、指を指してもらう。

…何言っているか、さっぱりわからない。
けど、指で指している場所がそれっぽい。

あたし
「かむさはむにだ～～」

あぁ～、全くわからなかった。お手上げ。

で、教えてもらった場所はここからかなり遠い。
行けなくはないけど、そうすると待ち合わせの時間に間に合わないと思う。
待ち合わせは、Ｋ子が帰る予定の６時。
今はもう４時４０分。東大門の方は諦めなきゃならない時間。
ん～、まぁ、諦めるか。

ということで、あたしは崇礼門の場所を聴いただけで満足し、
次の目的地を目指すことにした。東大門もかなり遠い。

興仁之門 - Wikipedia

３０分くらい歩いた。ほとんど競歩状態。
そろそろ帰る時間を考えなきゃいけない。疲れた。

歩いてきた道には、バイク専門通り（上野のアレみたいな）とか
家具の中古販売店（もしくは業務用）の通り等、
一つのジャンルが集中している道を多く通った。

韓国でもスクータータイプの中型バイクは流行っているみたいだ。
みんな、割と爆音（騒音）。車のピーピーに比べればかわいいけど。

途中、道が不安になってきたので、老人を見つけては

あたし
「いご、（地図を指差して）いご？」

ここはここ？

みたいな質問を連発。伝わってないよなぁ。伝わってんのか？

東大門に行きたいって行ったら、バス停を指差されて
そこから乗ってよみたいな事を言われた時もあった。
おもしれー、一人でいろいろ聞くのって。

なんとしてでも東大門のエリア内にはたどり着きたいので、
汗だく・疲労困ぱいを我慢しスピードアップ。

おし！！もうすぐエリア内だー。

とりあえず、あたしの持ってる地図では
「東大門」と書いてある場所へ来た。
この辺りが市場とかがある東大門エリアの始まり。
もう時間がないので、奥までは探検出来ないけど、
とりあえず満足。急いで帰らねば…。
たぶんタクシーなら１５分～２０分くらいなはず。
（飛ばすから）

さて、タクシーはどうやって捕まえようか。
手をあげると止まってくれんのかなぁ。

リーさん、言ってたよな。
メーターがゼロになっている一般のタクシーは気をつけろって。
何万円も取られちゃうって。
初乗りは１９００Ｗ。模範タクシーだと４２００Ｗくらいだったかな。

路駐がいないスペースを見つけて、そこでタクシーを待つと
すぐに空車のタクシー発見！へいへいへい！！

難なく停車。

リーさんはこんな事も言ってた。
ロッテホテルの場合、「ミョンドン　ロッテホテル」と言え、と。

あたし
「みょんどん　ろってほてる　え　かごしっぽよ。おーけい？」

ＯＫは通じるだろうと思ってつけてみた。
ペーパーを見ながらだから、割とかっこ悪いんだけど必死。

運転手は「ウン」って感じでうなづいて、タクシー発車。
大丈夫だろうか…。メーターは…よしよし、１９００Ｗだ。

タクシーのメーターは、日本なら６５０円くらいから
徐々に増えていくだけだけど、韓国のメーターは
初乗り分の数字（例えば１９００Ｗ）の下に、
初乗り分の数字が減っていく様子がわかる数字が付いてる。
時間でどんどん減ってく。それがゼロになると、
初乗り料金の方へ加算されていく。

タクシーは地元でよく使うけど、
海外で乗ったのは５回目くらい。一人で乗ったのは初めて。
ビュンビュン飛ばすし、結構怖い。

あたし
「（運転手に向かって）さじん　ちごど　てよ？」

写真を撮ってもいいですか？

運転手の許可をもらって、タクシー内から市内を撮影。

ぱしゃり…

あれ？

携帯の反応がどうも悪い。

ぱしゃり

あれれ？………おいおい、携帯が壊れたのか？

ん～、どうも調子が悪い。でも撮れるらしいので、自分を撮影。

どこを走っているのかがわからない事と、
スピード出しすぎ、車の距離近すぎ、ピーピーうるさすぎ、
もろもろの事で顔がこわばってる様子を撮影してみた。

時間は…６時５分前…だめだ、このままだと過ぎちゃう。
Ｋ子、携帯を持ち歩いてるかなぁ。あいつのも使えるはずなんだ。
とりあえず待つようにメール。

タクシーがやっと見慣れた道を走り出した。
もうここでいいんだけどなぁ。
そうだ、習慣はないだろうけど、おつりをあげよう。
英語を覚えたから、使ってみたい。

さんきゅー　ゆあ　へるぷ。きーぷゆあちぇぃんじ

ありがとー　おつりは取っといて

っていうか、もうここでいいんだけどなぁ。
あぁ、前が渋滞しちゃってるよ。救急車か…
ここで降りたら悪いかな…ん～
（救急車はambulanceだ、とかも考えてた）

Ｋ子からの返事はない。だからまだ帰ってないか、
携帯を置いてきてるってやつだ。急がないといけないわけだけど…。

渋滞を抜けて、ホテルに到着。

さんきゅー　ゆあ　へるぷ。きーぷゆあちぇぃんじ

３００円くらいのお釣りをあげると、サンキューって言われた。

あたし
「かむさはむにだ～～」

タクシーを降りて部屋まで急いだ。

あれ？まだ着いてないのか。一人で遊びに行くわけないもんな。

部屋でＫ子を待つことにする。
歩いたのでお腹が減った。早くビビンバが食べたい。

つづく。

【→もっといろいろ読む】