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小さい頃の夢は何ですか？

幼稚園生の頃、戦闘機のパイロットが夢だったような気がする。タンスの奥にプラモデルとミニカーを並べて、秘密基地を作った。そこからはどこでも行けた。

他になりたかったのは仮面ライダー。変身ベルトは何個も持ってた。ウルトラマンも良かったけど、３分しか変身出来ない。仮面ライダーの方が歌もかっこよかった。でも、怪人たちがすごく怖かった。悪いことをすると、あいつらに連れ去られて怪人にされちゃうって脅かされていた気がする。仮面ライダーも本当は怪人になるはずだった。

当時から親父とプロレスで猪木を応援してた。けど、いっつも親父に“四の字固め”や“アルゼンチン・バックブリーカー”で泣かされていたから、痛くてプロレスラーにはなろうと思った事はない。ジャイアント馬場と猪木はどっちが強いんだって親父に聞いたら、力道山が一番強いって教えてくれた。プロレスラーになるなら、力道山になれって。タイガー・ジェットシンが怖くて、絶対にプロレスラーは嫌だった。

親父は西部劇映画が好きだった。風呂場でよく鼻歌を歌ってくれてた。一緒に西部劇の映画をよく見た。ガンマンに憧れて、ピストルが欲しかった。日本だと拳銃を撃てる場所はなくて、警察官も撃てないと親父は教えてくれた。だから、テレビドラマ「西武警察」は嘘だってよく言ってた。でも、石原裕次郎と渡哲也はかっこいいらしい。

漫画と映画の影響で、スパイとか秘密結社とかに興味を持った。怪しい雰囲気が好きで、正義の味方より悪の軍団の方がカッコイイなんて思った時もあったと思う。でも怪人は相変わらず怖かった。

千葉真一の時代劇を見ても侍や忍者になろうとは思わなかった。それに、火の術をやろうと思って、ティッシュにライターで火をつけたらぶっ飛ばされた。想像以上に燃えた。本当に怒られた事より覚えてる。本当にびっくりした。

小学生の頃は美味しいものが食べたくて、コックになろうと思った。でも、包丁が怖くて一品も作った事がない。食べるのは好きだったけど、運動は苦手で駄菓子とコーラを足元に置きファミコンばっかりやっているから太った。

地域の野球クラブに入ったのは、日曜日は友達のほとんどが野球クラブで忙しかったからだ。友達のいない日曜日なんかつまんない。野球？逆上がりが出来なかったくらいだから、野球の実力は書かなくてもわかってもらえると思う。野球の練習、本当は嫌だった。日曜日は朝の６時に集合する。日曜日の朝は、テレビでヒーロー戦隊や仮面ライダー（ブラック）が放送してたのに、生で見たことはなかった。親父に毎週録画を頼んだ。親父はビデオの予約を覚えてくれた。親父、仕事で見れないプロレスの試合があるからビデオを買ったんだったよな。

映画が好きだった。ブルース・リー、ジャッキー・チェン、シルベスタ・スタローン、クリントン・イーストウッド・・・ヒーローが沢山いた。あっちの世界に入りたかった。映画監督、役者、歌手、どれかになれたらなぁ。女の子にもモテるだろうって思ってた。運動は苦手だし、太ってて冴えない自分。親父は仕事で家にいないし、テレビが友達だった頃。

歌手。これにも憧れた。「ベストテン」「ヒットテン」「夜のヒットスタジオ」、全部見てた。みんなはトシちゃんって言ったけど、なぜか顔にバンソウコウがあって、ちょっと悪ガキなマッチが好きだった。でも、すぐにマイケル・ジャクソンが好きになって、歌手は諦めた。

中学生になったら、勉強が好きになって割と勉強した。特に社会の授業が好きだった。元々ゲーム「三国志」や「信長の野望」に熱中した事があって歴史に興味があったし、ハリソン・フォード演じるインディ・ジョーンズみたいなのが考古学者じゃなくて、「不思議発見！」の吉村先生みたいなのが考古学者なんだって知ったから、考古学者になれるならなりたいなって思った。小学生の頃、買ってもらった「世界超常現象」「世界七不思議」とかに出てきたモアイの事も勉強した。モアイはＵＦＯと全く関係なかった。宇宙人が作ったなら、作った意味を教えて欲しかったのに。

考古学者になるには、とりあえず大学に入らなきゃ駄目だと思って、高校は進学校にすることにした。

親父が「お前の後に３人も学校に行く。お金がかかるのはわかるだろ。だから公立しか認めん。出来ないのなら一生食べていける漁師になれ。」って言われた。

苦手だった運動は、仲間が誘ってくれた事がキッカケで始めたバスケットボールの練習で、かなり向上した。逆上がりも出来るようになったし、何よりマラソン大会で９位に入れた事が嬉しかった。全然出来なかった野球を続けて基礎体力がつき、吐くくらいハードなバスケットの練習を頑張ったおかげだと思う。だけど、スポーツ選手にはなれるわけない。マイケル・ジョーダンを神様と憧れても、スポーツ選手になろうとは一度も思った事がない。

専門教科が好きで、特に美術の時間は力を入れた。小学校の時から、区の作品展に出してもらえていたから、自分でも自信があったんだと思う。でも、芸術家は才能が勝負だから、絶対に芸術家は無理だって考えてた。それにシャガールとかピカソとか、どう考えてもまともな絵に思えない。あの人たちは小さい頃から天才なんだって。

学芸会で演者もやった。役者になれるもんならなってみたい。テレビに映る役者たちは、凡才の自分にはヒーローのように写る。自分も宮沢りえと競演したかった。

中学を卒業し、公立の高校に進学。中学卒業時、成績は良かった。大学もこのペースで楽勝だって思った。けど、考古学者になる夢は消えて、身近にある遊びに熱中した。女も酒もタバコも一気に覚えて、学校はサボるし家には帰らなかった。一年の終わり、当然クラスの落ちこぼれ。まぁ、学校では仲間も出来て一緒に笑えたから良かったんだけど、夢は全くなかった。今考えてみると、何も出来ないくせに言う事は大きかった。それに、遊びを覚えた代償は大きかったかもしれない。後悔はないけど、何を得て何を失ったんだろうって、たまに考えたりする。

高校三年間、制服、合コン、プリクラ、ベルに携帯、セックス、クラブ、HIPHOP、覚えた物は多いけど、夢はどんどん無くなった。成績もなんとか卒業出来る程度で、大学生になるのを簡単だと思っていた自分はとっくにいない。それでも、とりあえず大学か？と思った。けど、それでいいわけない。目的が無くて4年間も勉強しなきゃいけない。何よりかっこ悪い。目的がないのは自分の中でかっこ悪い事だった。卒業した後はどうする？サラリーマンだって大変だ。目標がなくて続けられるのか？だから探した。何か見つかるかもしれない。キッカケは安易だ。「とりあえず」じゃなくて、「やってみよう」。キッカケを探してた。

もっと先まで書いたんだけど、辞めました。